本当にあったありえない代車
あれは4、5年前の事でしょうか。
当時、私は会社から出向を言い渡され、とある町に住む事になりました。

 


出向の期間は、2年間。
その2年の間に車検を受ける機会が1度だけありましたが、元々住んでいる町を離れているわけですから、いつも頼んでいる車検業者に依頼するのは物理的に不可能です。

 


そして、私は車検の有効期限があと1ヵ月を切ったあたりから、新たな車検業者を探し始めました。
ですが、仕事も忙しく、なかなか適当なところが見つかりません。

 


切羽詰まった私は、自宅近くにひっそりとたたずむ、古い修理工場に車検を依頼することにしたのです。
この修理工場は人当たりがよい方ばかりで、気持ちよく見積もりなどを相談することができました。

 


しかし、問題は宛がわれた代車です。
確か、ダイハツのミラだったと記憶しています。

 


その代車は見た目からして、乗るのが不安でした。
各箇所が錆ついており、何年も放置されていたのではないかと疑うほどひどいものだったのです。

 


しかし、人当たりのよい修理工場の方にクレームを付けるわけにもいかず、私はその代車を受け入れる事にしました。
さて、その代車の乗り心地ですが、予想通り最悪です。

 


ギアチェンジの度にものすごい振動が起きて、体が揺さぶられました。
ちょうど、マッサージチェアを最大出力で使用する感じと言えばおわかりになるでしょうか。

 


いや、むしろそれ以上かもしれません。
しかも、ハンドルは恐ろしく硬く、エアコンのききも悪いというオマケ付きです。

 


さらに車内はオイルの臭いが充満しており、ちょっとしたプチ工業地帯でした。
極めつけは、その車でスーパーへ買い物にいったところ、信じられないことに、スーパーの駐車場でエンジンがかからなくなってしまったのです。

 


私の人生の中で、車検用の代車が故障したという経験はこれが初めてでした。
その後、すぐに修理工場の方が駆けつけてくださり事なきを得ましたが、こんな経験はなかなか出来るものではないでしょう。

 


こんなことがあってか、車検を終えた愛車の乗り心地は、日本一に思えました。
もの二度と乗ることのない、あの代車。

 


今でも現役で走っているのかと、私は時々思い出す次第です。